トイレタンク修理は自分でもできる?注意点と修理費用の目安も解説!


トイレタンクの故障例|原因と症状


トイレタンクは、日常的に使われる水回り設備の中でも、比較的見過ごされがちな存在です。
しかし、内部には複数の精密な部品があり、経年劣化や使用状況によって不具合が起こることがあります。
ここでは、よくあるトイレタンクの故障例と、それぞれの症状についてご紹介します。
水が流れない原因はレバー周辺のトラブル
トイレの水が流れないとき、多くの方はタンクの中に問題があると思いがちですが、意外と多いのがレバーまわりの不具合です。
レバーはタンクの外に付いているシンプルな部品ですが、内部では鎖やフロートとつながっており、これが正常に動かないと水が出なくなります。
よくある症状には、次のようなものがあります。
- レバーを押しても手応えが軽すぎる、または空回りする
- レバーを動かしてもタンク内の部品(鎖やゴムフロート)が連動していない
- 固くなってスムーズに回らない
こうした場合、まずはタンクのフタを開け、レバーから伸びている鎖が外れていないか、緩みすぎていないかを確認しましょう。
鎖の長さが合っていないと、フロートが持ち上がらず水が流れません。
また、レバーの根元の金属部分がサビていたり、樹脂製の部品が割れていたりすることもあります。
軽度なら調整やパーツ交換で解決できますが、劣化が進んでいる場合は新品に取り替えるのが確実です。
「水が流れない=タンク全体の故障」と思い込む前に、まずはレバー周辺のチェックから始めるのが効率的です。


レバーが空回りするときの原因
トイレのレバーを回しても「スカッ」とした手応えしかなく、水がまったく流れない状態は、レバーの空回りが原因で起こります。
- 鎖が外れている
- 鎖が緩みすぎている
- レバーの付け根が摩耗・破損している
- 取り付けナットの緩み
レバーの空回りは、タンク全体の故障ではなく「小さな接続不良」であることがほとんどです。
まずはフタを開けて鎖やレバーの固定部分を点検し、緩んでいたら調整、破損していれば交換を検討するとよいでしょう。
レバーを回しても少ししか水が流れないときの原因
レバーを回すと水は流れるものの、途中で勢いが弱まったり、便器に少量しか水が落ちてこないそんな場合は、タンク内でフロートや部品の動きが不完全になっている可能性があります。
は以下の通りです。
- 鎖の長さが合っていない
- フロートの劣化や歪み
- タンク内の水位が低い
- レバーの戻りが悪い
この症状は「完全に壊れているわけではないけれど、使用に不便を感じる」タイプのトラブルです。
多くは鎖の長さ調整やフロートの交換で解決できるので、まずはタンクのフタを開けて目視確認するのがおすすめです。
タンクレストイレで水が流れないときの原因
近年主流になりつつあるタンクレストイレは、コンパクトでデザイン性も高い反面、従来のタンク付きトイレとは仕組みが異なります。
そのため「水が流れない」と感じたときに考えられる原因も少し違ってきます。
- 給水不良
- 操作パネルやセンサーの故障
- 電源トラブル
- 内部バルブの不具合
タンクレストイレは構造が精密なため、従来型のように「フタを開けて鎖を直す」といった簡単な修理はできません。電源や止水栓といった基本的な確認を行っても直らない場合は、メーカーや専門業者に相談するのが安全です。


給水が止まらない原因はタンク内部部品の異常
トイレを流したあとに「チョロチョロと水の音がいつまでも続く」「給水が延々と止まらない」という症状が出ることがあります。
これは水道代の無駄になるだけでなく、放置すると部品の劣化を早める原因にもなります。
多くの場合、タンク内部の部品に不具合が起きているのが原因です。
考えられる代表的な異常は次の通りです。
- ボールタップの不良
タンクに水をためる役割を持つボールタップが劣化すると、水が一定量に達しても止まらなくなります。パッキンの摩耗や浮き球の破損が原因であることが多く、長年使用している場合は交換が必要です。 - フロートバルブ(ゴムフロート)の劣化
排水口を塞ぐゴムフロートが硬化や変形で密閉できなくなると、水が少しずつ便器に流れ続けます。
その結果、タンク内の水位が下がり、ボールタップが働き続けることで給水が止まらなくなります。 - オーバーフロー管まわりのトラブル
オーバーフロー管にひび割れやズレがあると、水がタンクにたまっても正常に制御されず、常に給水が続いてしまいます。 - 部品の取り付け不良や調整不足
新しい部品を取り付けたあとでも、位置がずれていたり調整が甘かったりすると、水が止まらない症状が出ることがあります。
このように、給水が止まらない現象は単なる「水漏れ」ではなく、内部部品の異常や劣化が原因で起こる連鎖的なトラブルです。
部品ごとの点検と交換を行えば改善することが多いため、気付いた時点で早めに対処することが大切です。
便器内へ水が流れ続ける場合の原因
トイレを使ったあと、本来ならタンクに水がたまれば流れは止まるはずです。
ところが、いつまでも便器の中に水が流れ続けることがあります。この症状は「隠れた水漏れ」とも言え、水道料金が増えるだけでなく、放置すれば部品の劣化を加速させる厄介なトラブルです。
- フロートバルブ(ゴムフロート)の不良
- 鎖の引っ掛かりや長さの不具合
- オーバーフロー管の異常
- ボールタップの故障
このように、便器内への水の流れが止まらないのは、「タンクの内部で水をせき止める役割を担う部品」が正しく機能していないサインです。
ほとんどの場合はフロートやボールタップといった部品の点検・交換で解消できるので、早めに確認することをおすすめします。
手洗い管から水が流れ続けるときの原因
トイレタンクの上に付いている手洗い管は、タンクに水をためるときだけ流れる仕組みになっています。
通常であれば、タンクが満水になると自動的に止まるはずです。
ところが「いつまでも水がチョロチョロ流れている」という状態になることがあります。
これは、タンク内部で給水が正常に制御されていないサインです。
- ボールタップの故障
- フロートバルブの不具合
- オーバーフロー管まわりの問題
- 部品のズレや調整不良
手洗い管から水が流れ続ける症状は、単に「水がもったいない」だけでなく、内部部品が正常に働いていない警告でもあります。
放置せず、ボールタップやフロートの確認・交換を行うことで、多くの場合は解決できます。
トイレタンクから水漏れする原因
トイレまわりのトラブルで特に気になるのが「水漏れ」です。
床が濡れていたり、タンクの外側からポタポタと水滴が落ちているのを見つけると、不安になりますよね。
トイレタンクからの水漏れにはいくつかのパターンがあり、それぞれ原因が異なります。
- タンクと便器の接続部分のパッキン劣化
タンクの下部と便器をつないでいる部分には、ゴム製の密閉パッキンが入っています。
これが劣化すると、隙間から水がにじみ出て床へ垂れることがあります。ゴムが硬化していたら交換が必要です。 - 給水管や接続ナットの緩み
タンクに水を送る給水管の接続が緩んでいたり、パッキンが劣化すると、水が接合部から漏れてしまいます。
工具でナットを軽く締め直すだけで改善することもありますが、長年使っている場合はパッキン交換が確実です。 - タンク内部の部品不良によるオーバーフロー
ボールタップやフロートバルブの不具合で水位が上がりすぎると、タンクから水があふれ、外部へ漏れ出すことがあります。
内部の不良が原因の場合は部品の点検・交換が必要です。 - タンク本体のひび割れ
陶器製のタンクに衝撃を与えたり、経年劣化で細かなひびが入ると、そこからじわじわと水がしみ出すこともあります。
この場合は修理ではなくタンク交換が必要になります。 - 結露による水滴
夏場や湿気の多い時期に、タンクの外側に水滴がつくことがあります。
これは部品の故障ではなく、冷たい水と室内の温度差による結露です。
ただし放置すると床材を傷めるため、結露対策も考える必要があります。
トイレタンクからの水漏れは、部品の劣化・接続不良・結露といった原因がほとんどです。
タンク本体の破損でない限り、多くはパッキンや部品の交換で改善できます。
蜜結パッキンの劣化
トイレタンクと便器は、ただ置いてあるだけではなく「密結パッキン」と呼ばれるゴム製の部品でしっかり密閉されています。
このパッキンがあることで、タンクから流れる水が便器へスムーズに送られ、外部に漏れ出すことを防いでいます。
しかし、密結パッキンは常に水分と圧力にさらされているため、年数が経つにつれて次のような症状が出やすくなります。
- ゴムが硬化して弾力がなくなる
- 表面がひび割れて隙間ができる
- 変形して密着度が落ちる
こうした劣化が進むと、タンクと便器の接合部から水がじわじわと漏れ出すようになります。
床が濡れていたり、タンク下に水たまりができるときは、密結パッキンが原因である可能性が高いです。
修理の基本は 密結パッキンの交換 です。パッキン自体はホームセンターやネットで入手できますが、交換にはタンクの取り外しが必要となり、初心者にはやや難しい作業です。
力加減を誤るとタンクや便器を破損するリスクもあるため、不安がある場合は専門業者に依頼した方が安心です。
密結パッキンは目に見えない部分にあるため、劣化に気付きにくい部品ですが、10年前後を目安に交換が必要と考えておくと、急な水漏れを防ぎやすくなります。
タンクの割れやヒビ
トイレのタンクは陶器製が多く、見た目には頑丈に見えますが、強い衝撃や経年劣化によってヒビや割れが生じることがあります。
タンク自体が破損すると、内部の水がじわじわと外にしみ出し、やがて床へ水漏れを引き起こします。
- 物をぶつけた衝撃
掃除中に硬い道具を当ててしまったり、タンクの上に物を置いて落としたりすると、目立たない細かなヒビが入ることがあります。 - 経年劣化による脆化
陶器は長期間使用すると内部に微細なクラック(ひび)が蓄積し、ちょっとした衝撃でも大きく割れやすくなります。 - 凍結による膨張
寒冷地では、タンク内の水が凍ると膨張して圧力がかかり、タンクにヒビが入るケースもあります。
割れやヒビを見つけたときの対応
小さなヒビであれば、防水用の補修剤で一時的にしのぐことは可能ですが、あくまで応急処置にすぎません。タンクは常に水圧がかかっているため、時間が経つとヒビが広がるリスクが高いからです。
基本的には タンクそのものの交換が必要 になります。タンクだけを交換できる場合もありますが、機種によっては便器とセットで取り替えるケースも少なくありません。
放置するとどうなる?
- 水漏れが悪化して床材や下地を傷める
- 水道代が増える
- カビや臭いの原因になる
タンクの割れやヒビは、見た目以上に深刻な被害を及ぼすため、早めに修理・交換を検討することが重要です。


トイレタンクの基本構造と主要な部品


トイレタンクの構造と水が流れる仕組み
トイレタンクは一見ただの水をためる箱のように見えますが、実は複数の部品が連動して動くことで「水をためる → 便器に流す → 再びためる」というサイクルを繰り返しています。
基本的な構造と仕組みを知っておくと、故障の原因を理解しやすくなります。
- レバー(またはボタン)
使用者が操作する部分で、タンク内部の鎖を引っ張り排水を開始します。 - フロートバルブ(ゴムフロート)
タンク底部の排水口をふさぐ部品。
レバー操作で持ち上がり、水を一気に便器へ流します。 - 鎖(チェーン)
レバーとフロートバルブをつなぎ、力を伝える役割。 - ボールタップ
タンク内に水を給水する部品。
浮き球(フロート)が上下することで水位を感知し、適切な水量で止まります。 - オーバーフロー管:水位が異常に高くなったときに、余分な水を便器へ逃がす安全装置。
- レバーを回す
→ 鎖が引っ張られ、フロートバルブが持ち上がります。 - タンクの水が一気に便器へ
→ 重力によって水が流れ込み、排泄物を押し流します。 - フロートバルブが閉じる
→ タンクが空になるとフロートが自然に下がり、排水口を再び密閉します。 - 給水開始
→ 水位が下がるとボールタップが作動し、水をタンクに補給します。 - 一定の水位で停止
→ 浮き球が上がりきると給水が止まり、次に使う準備が整います。
タンクの構造を知っておくと、「水が止まらない」「少ししか流れない」といったトラブルが起きたときに、どの部品に異常があるのか見当をつけやすくなるのが大きなメリットです。
自分で修理できるケースと業者に任せるべきケースの判断もしやすくなります。


ボールタップ
ボールタップは、トイレタンクの給水をコントロールする重要な部品です。
タンクの中に水をため、一定の水位で自動的に止める役割を担っています。
もしボールタップが正常に動かないと、「水が止まらない」「タンクに水がたまらない」といったトラブルが発生します。
- 水位が下がる → フロートが下がり、給水弁が開く
- 水位が上がる → フロートが浮き、給水弁が閉じる
ボールタップは、給水管とタンクをつなぐ部分に取り付けられています。
先端に**浮き球(フロート)**が付いており、この浮き球が水位に合わせて上下することで給水量を調整します。
このシンプルな動作により、タンクの水はいつも一定量に保たれる仕組みです。
ボールタップが原因で起こるトラブル
- 給水が止まらない:浮き球が正しく働かない、内部の弁が劣化している
- 水がたまらない:弁が固着して水が入ってこない、給水管の接続不良
- 異音がする:部品の摩耗や水圧の変化による振動音
ボールタップは長年使用するうちに、内部のパッキンがすり減ったり、浮き球が劣化して水位を正しく感知できなくなります。
軽度な不具合ならパッキン交換で直る場合もありますが、10年以上使用しているタンクではボールタップ本体の交換を検討するのが一般的です。
自分で交換できる?
ボールタップはホームセンターやネットで市販されています。
止水栓を閉め、古い部品を外して新しいものに取り替えるだけなので、DIYに慣れている方なら交換可能です。
ただし、タンクの型式によって適合する部品が異なるため、購入前に型番を確認することが大切です
浮き玉
浮き玉は、トイレタンクの水位を調整するために欠かせない部品です。
ボールタップの先端に取り付けられており、水の浮力を利用して給水の開始と停止をコントロールする役割を持っています。
- タンク内の水位が下がると、浮き玉も沈み込みます。
- それに連動してボールタップの弁が開き、水がタンクに給水されます。
- 水位が上昇すると、浮き玉が浮かび上がり、一定の高さに達した時点で弁を閉じ、給水が止まります。
このシンプルな構造によって、トイレは常に一定量の水をタンクにためることができるのです。
浮き玉のトラブル例
- 浮き玉に穴が空き、水が入り込んで沈む → 給水が止まらず、水が流れ続ける
- アームの曲がりや変形 → 正しく上下せず、水位調整がうまくいかない
- 取り付け位置のズレ → 適正水位にならず、水不足やあふれを起こす
浮き玉は樹脂や金属で作られていますが、長年使うと以下のような不具合が出ることがあります。
対処方法
軽度の不具合であれば、浮き玉やアームを調整することで改善できます。
しかし、穴が開いて水を吸ってしまった場合は修理できないため、浮き玉ごとの交換が必要です。
ボールタップと一体型になっている製品も多いため、その場合はボールタップごと交換するのが一般的です。
使用環境や水質にもよりますが、浮き玉の寿命はおよそ 7~10年程度 とされています。
給水が止まらない・タンクに水がたまらないといった症状が出たときは、浮き玉の劣化を疑うとよいでしょう。
ダイヤフラム
ダイヤフラムは、トイレタンクの給水や水流の制御に関わる重要な部品で、ゴムや樹脂で作られた弁の膜のことを指します。
主にボールタップやソレノイドバルブの内部に組み込まれており、水の流れを開閉する役割を担っています。
- タンク内の水位やレバー操作によって、ダイヤフラムが押されたり引かれたりします。
- 弾力性のある膜が動くことで、水の通り道が開き、水をタンクに流したり止めたりすることができます。
- この仕組みにより、タンク内の水位が常に適切に保たれ、必要なときに必要な量だけ水が便器に流れるようになります。
ダイヤフラムが原因で起こるトラブル
- 給水が止まらない:膜が硬化したり裂けたりすると、水が通りっぱなしになり、タンクに水がたまり続けます。
- 水が少ししか流れない:膜が変形して隙間が塞がらず、必要な水量が確保できなくなる場合があります。
- 異音や振動が発生する:弁の動きが不安定になると、水の流れる音や振動が目立つことがあります。
対処方法
ダイヤフラムは消耗品の一種で、長年の使用で硬化や変形が進みます。
軽度の汚れや水あかであれば掃除で改善する場合もありますが、膜に亀裂や穴がある場合は交換が必要です。
ボールタップやソレノイドバルブ一体型の製品の場合、ダイヤフラム単体では交換できないこともあり、その場合は部品ごと交換する必要があります。
使用環境や水質によって差はありますが、ダイヤフラムは 約7〜10年程度 で劣化しやすい部品です。
給水トラブルや水漏れの原因として頻繁に関わる部品のため、定期的な点検・清掃が効果的です。
オーバーフロー管(サイフォン管)
オーバーフロー管(サイフォン管とも呼ばれる)は、トイレタンクの内部に縦に立っている筒状の部品です。
普段は目立ちませんが、タンクの安全を守る重要な役割を担っています。
- 水位の上限を調整する安全装置
タンク内の給水が止まらず水位が上がりすぎた場合、オーバーフロー管から余分な水を便器に逃がすことで、タンクから水があふれるのを防ぎます。 - 洗浄水の通り道
一部のトイレでは、レバーを操作したときにオーバーフロー管を通じて水が便器へ流れる仕組みになっています。
オーバーフロー管で起こるトラブル
- ひび割れや破損
経年劣化や衝撃で管にひびが入ると、タンク内の水が常に便器へ漏れ出してしまいます。 - 接続部分の緩み
管の根元が緩むと、水漏れや便器へのチョロチョロとした水流れが続く原因になります。 - 異常な水位による排水
ボールタップの故障で水が止まらなくなると、オーバーフロー管から常時便器に水が流れる状態になり、無駄な水道代が発生します。


対処方法
- 破損している場合 → オーバーフロー管そのものを交換する必要があります。
- 水位が高すぎる場合 → ボールタップや浮き玉の調整・交換で改善できます。
- 根元の緩み → 固定を締め直すことで解消するケースがあります。
オーバーフロー管はタンクの底部に固定されているため、交換にはタンクの取り外しが必要です。
DIYでの作業は難易度が高いため、配管やタンクの扱いに不安がある場合は、専門業者に依頼した方が安全です。
オーバーフロー管は普段あまり意識されない部品ですが、便器内に水が流れ続ける症状の大きな原因になることがあります。
給水が止まらないときには、この部品の異常も疑ってみるとよいでしょう。
LIXIL(INAX)製
LIXIL(旧INAX)は、日本でもっとも普及しているトイレメーカーのひとつです。
家庭用から業務用まで幅広い製品を展開しており、多くの住宅に導入されています。
そのため「トイレタンクの不具合」といえば、LIXIL(INAX)製を使用しているケースが非常に多いのが特徴です。
- 部品の種類が豊富
LIXIL(INAX)のタンクはモデル数が多いため、内部部品の種類もさまざまです。同じ「ボールタップ」でも品番によってサイズや形状が異なります。 - ダイヤフラム式ボールタップを採用
近年のモデルでは、ゴムの膜(ダイヤフラム)で水の開閉を行うタイプが主流です。経年劣化すると「給水が止まらない」「水が少ししか流れない」といったトラブルの原因になります。 - 交換部品の入手性が高い
LIXILは国内シェアが大きいため、純正の交換部品がホームセンターやネットショップで比較的入手しやすいのもメリットです。
- 給水が止まらない
→ ダイヤフラム部品の劣化が原因であることが多く、パーツ交換で解決できるケースが一般的です。 - 便器に水が流れ続ける
→ フロートバルブのゴムが硬化して密閉できない場合があります。純正部品に交換することで改善可能です。 - 水の勢いが弱い
→ オーバーフロー管やボールタップの不具合で水量が不足している場合があります。調整や交換が必要です。
LIXIL(INAX)製タンクは、型番ごとに適合する部品が違うため、修理や交換をする際は必ずタンクの品番を確認しましょう。タンクの品番は、フタの裏側や本体の側面にシールで記載されています。
LIXIL(INAX)は部品の流通が多く、自分で修理できる可能性が高いメーカーですが、タンクの取り外しを伴う作業や古い機種の場合は、業者に依頼した方が安全・確実です。
TOTO製
TOTOは、日本国内で最も高いシェアを誇るトイレメーカーであり、世界的にも知られるブランドです。高い耐久性と使いやすさが特徴で、一般家庭から公共施設まで幅広く採用されています。タンク内部の構造にも特徴があり、修理や交換部品の選び方にも注意が必要です。
- シンプルで堅牢な設計
TOTO製タンクは基本構造がシンプルで、耐久性に優れています。長期間使用しても部品トラブルが少ないのが特徴です。 - ピストンバルブ式ボールタップを採用
従来から多くのモデルでピストンバルブ式を採用しており、内部のパッキンやピストン部品が劣化することで「水が止まらない」といった不具合が発生します。 - パーツ供給が安定している
TOTOは部品の供給が長期間続く傾向があり、古いモデルでも交換部品が見つかるケースが多いのが強みです。
- 給水が止まらない
→ ボールタップ内部のパッキン劣化が典型例。交換部品(TH5AやTHY582Nなど)が市販されているため、DIYでの修理も可能です。 - 便器内にチョロチョロ水が流れる
→ フロートバルブ(ゴムフロート)が硬化・変形している場合が多く、純正部品に交換することで改善します。 - 水の勢いが弱い/タンクに水がたまらない
→ ボールタップの不具合やフィルターの目詰まりが原因で、部品清掃や交換が必要です。
TOTO製タンクも、修理を行う際にはタンク型番を確認することが必須です。
品番はタンクのフタ裏や本体横に貼られたシールに記載されています。
また、似た形状の部品でも適合しない場合があるため、純正部品を選ぶのが安心です。
TOTO製トイレは堅牢な構造ゆえに長持ちしますが、内部部品は消耗品です。
給水が止まらない、流れが悪いといった症状が出たら、早めの点検・部品交換で快適に使い続けられます。
フロート弁(ゴムフロート)
フロート弁(別名:ゴムフロート)は、トイレタンクの底にある排水口をふさいでいるゴム製の部品です。
レバーを回すと鎖で持ち上げられ、タンクの水を一気に便器へ流す役割を果たしています。
見た目はシンプルですが、タンクの水をしっかりため、必要なときにだけ流すための「栓」として欠かせない存在です。
- 待機状態
タンク内が満水のとき、フロート弁が排水口を密閉し、水が便器に流れ出さないようにしています。 - レバー操作
レバーを回すと鎖(チェーン)が引かれ、フロート弁が持ち上がります。 - 排水
開いた排水口から水が一気に便器へ流れ、洗浄が行われます。 - 再び密閉
タンクの水がなくなると、フロート弁が自重で落ち、再び排水口を密閉します。
フロート弁が原因で起こるトラブル
- 便器内に水が流れ続ける
→ ゴムが硬化して隙間ができると、水が止まらずに便器へチョロチョロ流れ続けます。 - 水がうまく流れない
→ 鎖が絡まって持ち上がらない、あるいはゴムの変形で開口が不十分になることがあります。 - 異臭の発生
→ 隙間から水が常時漏れていると、排水トラップが正しく働かず、下水の臭いが上がってくる場合があります。
フロート弁はゴム製のため、使用環境や水質によって 5〜10年ほどで劣化します。
- ゴムが硬くなっている
- 変形している
- 手で触ると黒い粉が付く
こうした状態になっていれば、交換のサインです。
純正品がホームセンターやネットで入手できるため、DIYでも比較的簡単に交換できます。
タンクの型番によってフロート弁の形状やサイズが異なるため、購入前に必ず確認しましょう。
誤ったサイズを取り付けると密閉できず、水漏れが改善しない場合があります。
フロート弁はトイレの不具合で最も多い「水が止まらない症状」の原因になる部品です。
小さなゴム部品ですが、定期的な交換で無駄な水道代を防ぎ、快適にトイレを使い続けられます。
手洗い管
手洗い管とは、トイレタンクの上部に設置された細い管で、タンクに水をためると同時に上部の手洗い器へ水を供給する役割を持っています。
トイレを流すと同時に新しい水が流れ出し、タンクへ補給されながら手を洗えるという、省スペースかつ節水を兼ね備えた仕組みです。
- レバーを回して排水するとタンク内の水が便器へ流れる。
- 水位が下がるとボールタップが作動し、新しい水を給水。
- その給水の一部が手洗い管を通って上部の吐水口から出てくる。
- 手洗いで使用した水もタンクに落ち、そのまま次の洗浄用に使われる。
このように、手洗い管は「タンクの給水」と「手洗い」の2つの役割を担っているのです。
手洗い管で起こりやすいトラブル
- 水が出ない
→ ボールタップの不具合や給水管の目詰まりが原因で、タンクへ水が流れず手洗い管にも水が出ないことがあります。 - 水が出続ける
→ フロート弁やボールタップの異常で給水が止まらず、手洗い管から延々と水が流れる症状が発生します。 - 水の勢いが弱い
→ 給水フィルターの汚れや水圧の低下が原因になる場合があります。
手洗い管そのものは単純な管状の部品で、破損や変形がない限りは交換不要です。
多くの場合、原因は内部部品(ボールタップやフロート弁)の不具合です。
タンク内部の部品を点検・交換することで改善するケースがほとんどです。
吐水口に水アカや汚れが付着すると水の出方が乱れるため、定期的に掃除をしておくと快適に使えます。
特に硬水地域や井戸水を使用している家庭では、カルシウムの固着による詰まりが起こりやすいので注意が必要です。
手洗い管はタンク式トイレならではの機能であり、見た目以上にタンク内部の部品と密接に関わっています。
「水が出ない」「出続ける」といったトラブルが起きたら、単なる管の問題ではなく、タンク内部の部品異常を疑うことがポイントです。
トイレタンクの修理方法と手順


トイレタンクの不具合は、部品の交換や調整で自分でも対応できるケースがあります。
ここでは、代表的な修理の流れを4つの手順に分けて解説します。
修理には、劣化や故障した部品の交換が必要です。
代表的な部品には「ボールタップ」「フロート弁(ゴムフロート)」「鎖(チェーン)」「オーバーフロー管」などがあります。
⚠️ 注意点
- 部品はサイズや形状が異なるため、必ずタンクのメーカーと型番を確認しましょう。
- 型番はタンクのフタ裏や本体側面のシールに記載されています。
- 適合しない部品を購入すると取り付けできなかったり、水漏れが改善しない原因になります。
修理を始める前に、必ず止水栓を閉めてタンクへの給水を止めます。
止水栓はトイレの床や壁に取り付けられている小さなバルブです。時計回りに回すと水が止まります。
⚠️ 止水栓を閉め忘れると、作業中に水が出続けて床が水浸しになる恐れがあります。
止水後、レバーを回してタンク内の水を流しきります。内部に残った水は雑巾やスポンジで拭き取ると作業がしやすくなります。
準備が整ったら、実際に部品を交換または調整します。
- フロート弁 → 鎖を外して新しいゴムフロートに取り替える
- ボールタップ → 古いものを外し、新しい部品を取り付ける
- 鎖の長さ → 適切に調整し、引っかかりや空回りを防ぐ
- オーバーフロー管 → 破損している場合はタンクを外して交換
交換後は止水栓を開き、水をためて正常に動作するか確認しましょう。
浮き玉の調整方法
浮き玉は水位を調整する役割を持っており、水のたまり具合に直結します。
- タンクのフタを外す。
- 浮き玉のアーム部分を軽く曲げる、または調整ネジを回す(機種によって異なる)。
- 水位が「オーバーフロー管の上端より約2~3cm下」にくるように調整。
- レバーを回して流し、適正水位になっているか確認。
レバーの鎖の長さの調整方法
鎖(チェーン)はレバーとフロート弁をつなぐ重要な部品で、長さが合っていないと不具合が起きます。
- 鎖を外して長さを調整。
- レバーを回したときにフロート弁がしっかり持ち上がり、手を離すとスムーズに閉まる程度に調整する。
- 目安は「鎖に少し遊びがある」程度が理想。
ダイヤフラムの交換方法
ダイヤフラムはボールタップ内部にあるゴムの膜で、劣化すると給水が止まらない原因になります。
- 止水栓を閉め、タンク内の水を抜く。
- ボールタップを取り外す。
- 内部のダイヤフラム部品を取り出し、新しいものに交換。
- ボールタップを元に戻し、止水栓を開けて動作確認。
⚠️ 注意点:メーカーやタンク型番によって形状が異なるため、必ず適合する純正品を用意しましょう。
フロート弁の交換方法
フロート弁(ゴムフロート)はタンク底の排水口を密閉する部品で、経年劣化すると水漏れの原因になります。
- 止水栓を閉め、タンク内の水を抜く。
- レバーから鎖を外し、古いフロート弁を取り外す。
- 新しいフロート弁を取り付け、鎖を適切な長さで接続。
- 止水栓を開けてタンクに水をため、レバーを操作して正常に流れるか確認。
⚠️ 注意点:タンクの型番によってサイズが異なるため、必ず適合部品を選びましょう。
これらをまとめると、「調整は比較的簡単」「交換は部品選びが重要」というポイントになります。
水道修理業者に依頼したほうが良いケース


トイレタンクの修理は、部品交換や調整で自分でも対応できることが多いですが、中にはDIYでは難しいケースもあります。
以下のような症状が出ている場合は、無理をせず水道修理業者に依頼するのが安心です。
オーバーフロー管はタンクの底部に固定されているため、交換するにはタンクを取り外す必要があります。
DIYで挑戦することも可能ですが、タンクの着脱には専門的な知識と工具が必要で、失敗すると水漏れや接続不良を招きやすい部位です。
👉 タンクを外す作業に不安がある場合は業者依頼がベストです。
パッキンやダイヤフラムの交換ならDIYでも可能ですが、ボールタップ本体が破損している場合は丸ごと交換が必要です。
給水管との接続部分を誤ると、水漏れや止水不良の原因になるため、確実性を求めるなら業者に依頼したほうが安心です。
👉 特に古いトイレでは配管との相性があるため、専門業者に任せたほうが確実です。
タンク本体にヒビが入っている場合、補修剤などで一時的に直す方法もありますが、基本的にはタンクの交換が必要です。タンクの交換は便器との接続や部品の再設置を伴い、素人作業では難易度が高い作業です。
👉 安全で確実な修理をするためには、業者によるタンク交換が最適解です。
状況に応じてDIYと業者依頼を使い分けるのが賢い選択です。
トイレタンクの修理費用の目安


トイレタンクの修理にかかる費用は、自分で修理する場合と水道業者に依頼する場合で大きく変わります。
どちらが適しているかは、症状の程度やご自身のスキルによって判断しましょう。
自分で修理した場合の費用感
ホームセンターやネット通販で部品を購入し、自分で取り付ける方法です。
- フロート弁(ゴムフロート):1,000円前後
- ダイヤフラム部品:1,000〜2,000円程度
- ボールタップ本体:3,000〜5,000円程度
- 鎖(チェーン):500〜1,000円程度
👉 部品代だけで済むため、1,000〜5,000円程度で修理できるのが魅力です。
ただし、部品選びを間違えると取り付けできなかったり、不具合が解消しないこともあるため注意が必要です。


水道修理業者に依頼した場合の料金の目安
業者に依頼すると、部品代に加えて出張費・作業費がかかります。
- 軽微な部品交換(フロート弁・ダイヤフラムなど):5,000〜10,000円程度
- ボールタップの交換:8,000〜15,000円程度
- オーバーフロー管の交換(タンク取り外しあり):15,000〜25,000円程度
- タンク本体の交換:30,000円以上(機種によっては便器ごとの交換が必要な場合もあり)
👉 総額は 8,000〜20,000円程度 が一般的な修理費用の目安です。
タンク内部の簡単な部品交換はDIYでも十分対応可能ですが、タンクを外すような作業や本体交換は業者に依頼した方が安心です。


トイレタンク修理に関するQ&A
トイレタンク修理なら水の救急隊へお任せください

