便器内の水位の上昇はトイレつまりの典型的な前兆です。そのため、トイレに行ったら、溢れそうなくらい水位が上がっていたなんてことがあったら慌ててしまいますよね。
しかし、トイレつまりの原因を特定しないまま水を流し続けると、便器から水が溢れるだけでなく床や壁紙が汚れるなどして、さらに状況が悪化してしまう恐れがあるため、絶対に水を流してはいけません。
また、集合住宅にお住まいの方であれば、下の階に水漏れを引き起こすなどといったさらに大きなトラブルに発展する可能性もあります。
そこで本記事では、トイレの水位が上昇する原因やトイレの水位を下げる方法について詳しく解説していきますので、急なトラブルにも対処できるよう、ぜひ参考にしてください。
- トイレの水位が上がっている
- トイレの水位を下げたい
トイレつまりの時に水が溢れる2つの原因
トイレつまりが発生した時に水が溢れてしまう原因について解説していきます。
便器の水が溢れる要因として考えられるのは以下の2点です。
つまった時に慌てて水を流してしまった
トイレがつまった時、慌てて水を流すことは絶対に避けてください。つまりが発生すると、焦ってしまい、とりあえず水を流してみようと試みる方がいますが、冷静に状況を把握し、なぜトイレがつまっているのかという原因を考えるのが先決です。
水が溢れる原因としては排水管に水が排水されないことが挙げられ、この状況で水を流すと水が流れず溢れてしまいます。
そのため、まずは止水栓を閉めて水の供給を止めましょう。その後つまりの原因を特定し、効果的な解消方法でつまりを解決してください。
部品不良によりタンクから水が溢れている
タンク内の部品不良により、タンクの水が絶えず便器に漏れる場合もあります。便器がつまっていない状態で、タンクから水が漏れるぶんには溢れることはありませんが、便器が完全につまると結果的に溢れる可能性が高まるので注意してください。
タンク内の部品不良には以下の3つの原因が考えられます。
フロートバルブの劣化
フロートバルブとは、チェーンで繋がっているゴムの栓のことです。常に水中にあるため、時間とともにゴムが腐食し劣化していきます。
劣化が進行すると、最初はわずかに水が漏れ出す程度でも、時間が経つにつれて漏れる水の量が増加し、最終的に便器内の水面が揺れるほどになってしまうことがあるので注意が必要です。
よって、フロートバルブが劣化した場合には、正確な水位制御を妨げることになるため、早めの交換が必要です。
ボールタップの不良
ボールタップはタンク内の水位を保つために給水されてくる水を止水する装置で、別名「フロート弁」や「定水位弁」とも呼ばれます。
こちらも経年劣化により、給水される水を完全に止めきれなくなり、微量の水が便器内に流れ続けることがあります。直すためには、ボールタップの交換が必要です。
オーバーフロー管の破損
オーバーフロー管には、タンク内の標準水位を超えて水が溢れないようにする役割があります。
オーバーフロー管が原因の場合は、亀裂などが発生し破損して、標準水位を超えた水が便器内に流れ込んでしまっているケースが多いです。こちらも直すためには、オーバーフロー管の交換が必要となるでしょう。
トイレの水位が上がる原因
トイレつまりが起こる前兆として代表的なものに、トイレに溜まっている封水(常時便器に溜まっている水)が上昇するというケースがあります。突然トイレの水位が上がっていたら焦ってしまいますよね。
すぐに何とかしないとと思いがちですが、まずは焦らず下記のような原因を特定することが必要です。
異物がつまっている
トイレの水位が上がるもっとも一般的な原因として、異物や不適切な物質が排水管につまることが挙げられます。
仮にトイレットペーパーや排泄物であれば、時間の経過とともに解消されていきますが、生理用品やおむつ、プラスチックなどの異物が排水管につまると、水位が上昇することがあるので注意しましょう。
水の流れが弱い
トイレの水流が弱いと便器や排水管内で効率的な排水が妨げられてしまい、つまりのリスクが高まり、結果として水位が上昇しやすくなります。
リスクを軽減するためにも、トイレの水流を調整したり、水の供給量を確認したり、トイレタンク内の部品を点検したりすることが必要です。
水流が弱いことが明白で、つまりが解決できない場合は、修理業者に相談するとよいでしょう。
トイレの構造的な問題
トイレの排水管の構造上の特徴がつまりを引き起こすことがあります。
例えば、一般的な排水管は湾曲していることにより封水が形成されています。そして、排水路は大量の水を必要とするのと同時に、水の勢いをつけるために幅が細くなっているのが特徴です。
「湾曲している」「排水管が細い」という特徴が、結果として排水管内でつまりを発生させていることがあり、注意が必要です。
節水で排水管がつまる
近年、環境への配慮と水道料金節約の両立が可能なことから、節水型トイレの普及が増えています。
少ない水量で便やトイレットペーパーを流せることが特徴ですが、便やトイレットペーパーが流れきらず排水管に溜まり、つまりを引き起こしてしまうトラブルも多く発生していることを覚えておいてください。
マンションやアパートに住んでいる
マンションやアパートに住んでいる場合、特に高層階になると水圧が低く、水の流れが弱くなることがあります。さらに、新築の物件では、節水型トイレが導入されていることも多く、そうなると水量の弱いトイレを使用することになるでしょう。これらの条件が合わさることで、トイレのつまりと水位上昇のトラブルを引き起こす可能性があり、注意が必要です。
また、マンションやアパートの排水管は専有部分と共有部分に分かれており、共有部分には他の部屋から流れてきた排水も集まります。そのため、共有部分がつまると、自分のトイレにも影響を及ぼす可能性があることを覚えておきましょう。
トイレつまりで水位が上がった時の対処法
トイレの水位が上昇したままで放置するのは非常に危険です。トイレを使用できないのはもちろんですが、汚水が溢れてしまう恐れがあるため、正常な水位に戻す必要があります。
そこで、ここでは水位を正常に戻すための対処法をご紹介していきます。
お湯でつまりを溶かす
お湯を使った対処法は、誰でも簡単にできるのでおすすめの方法です。
手順は以下の通りです。
1.お湯を用意する
やかんやバケツに50℃前後のお湯を準備します。
2.水位を調整する
便器内の水位が高い場合、あらかじめ水を汲み出して水位を低く調整しましょう。
3.お湯を流す
準備したお湯を排水口に向け注ぎます。つまりの原因が便やトイレットペーパーといった水溶物の場合、お湯を使うことでつまりを溶かして分解することができます。
4.時間を置く
お湯を注いだ後、約1時間程度待ちます。
5.水を流す
1時間後、水を流してつまりの解消を確認しましょう。つまりが解消されていれば、正常な水位に戻ります。
ラバーカップでつまりを取り除く
ラバーカップは一般的に「スッポン」としても知られており、トイレつまりの解消グッズの中では一番ポピュラーなものです。そのため、ラバーカップは簡単に手に入り、使い方もシンプルなので、一つご自宅に置いておくことをおすすめします。
ラバーカップの使用手順は以下の通りです。
適切なラバーカップの選択
便器に合ったサイズのラバーカップを選びます。ラバーカップは、和式用、洋式用、節水型便器用と3種類あるので、ご自宅の便器に合ったものを用意してください。
水量の調整
ラバーカップはゴムの部分が水に浸るような水量が無ければ効果を発揮しないので、便器内の水位を調整します。水を抜き過ぎず多少残しておくのがポイントです。
ラバーカップを押し引きする
ラバーカップを便器の排水口に密着させ、ゆっくりと上下に押し引きしましょう。真空状態を作ることで、つまりの原因を解消します。
水を流してつまり除去の確認
つまりが解消されたかどうかを確認するため、水を流してください。つまりが取り除かれていれば水がスムーズに流れ、水位も正常に戻ります。
排水管や便器のメンテナンス
定期的に便器や排水管の洗浄を行っていても、蓄積される汚れによってつまりが発症してしまうことがあります。この場合、自力で解消するのが難しいため、排水管や便器のメンテナンスが必要です。
そこで、メンテナンス方法や注意点をご紹介します。
プロのサービスを利用する
排水管に汚れが蓄積したり、トイレが故障して水の流れが悪い場合、自力での対処は難しいでしょう。そのため、無理をせず専門業者に相談するようにしてください。
床下の排水管も点検
長年にわたって蓄積した汚れや詰まりは、排水管全体に及んでいる可能性があります。同じ問題を繰り返さないために、床下の排水管も点検するようにしましょう。
便器の分解は避ける
業者にお願いするのが嫌だといって、自力で解決しようと便器を分解する方がいますが、絶対にやめてください。便器を破損させたり、水漏れが起こるなどの二次被害はもちろん、元に戻せなくなり利用できなくなることもあり、非常にリスキーです。
保証期間を確認
便器や設備には保証が付いている場合があります。保証期間内であれば、無償での修理や部品交換などが受けられるかもしれません。そのため、設置時に渡された保証書や取扱説明書を今一度確認しましょう。
トイレつまりで水位が上がるのを防ぐためには?
最後に、トイレの水位上昇を防ぐ方法をご紹介します。
後々面倒なことにならないためにも、正しいトイレの使い方を意識するのが大事です。
こまめに流す
排泄物やトイレットペーパーを流す際、一気に流すのではなく、排泄物1回、トイレットペーパー1回といったように分けて流すことをおすすめします。
また、トイレットペーパーの使用量が多い場合にもこまめに流すことが重要です。流す量が少ないことで、スムーズに排泄物やトイレットペーパーを流せるので、つまりのリスクを減少させることができます。
過度な節水はしない
タンクにペットボトルなどを入れて、トイレの水を節水しているという方もいるのではないでしょうか。しかし、一般的なトイレの節水方法として知られているとはいえ、あまりおすすめできません。
タンクから排出される水量は、トイレつまりを起こさないための適切な水量に設定されています。そのため、勝手に水量を調節してしまうと、トイレつまりを引き起こす原因になってしまいます。
また、水流が弱いと排水管でつまりのリスクが高まるので、毎回トイレを流す際に水流の勢いを小さくすることも避けましょう。状況に合わせて「大」と「小」の水量を使い分けるようにしてください。
異物を流さない
トイレに流せるものはトイレットペーパーをはじめ、水に溶けるシートやおしりふきのみです。水に溶けないものは絶対に流してはいけません。
例えば、生理用品やおむつ、尿もれパッドなどは吸水性が高いため、トイレに流すと水分を含んで膨張し、排水管でつまりを引き起こします。したがって、誤って流してしまった場合は速やかに取り出しましょう。もちろん残飯も流さないでください。食品に含まれる油や固形物が排水管で固まり、つまりの原因となります。
また、スマートフォンや財布、ボールペンやタバコなどの異物を便器に落としてしまうことで、トイレをつまらせるというケースもよくあります。そのため、トイレを利用する際には、余計なものを持ち込まないようにしてください。
そして、ヘアピンなどの小さなものでも排水管で引っかかってしまうと、トイレットペーパーや汚物が絡んでつまりを引き起こすことがあるので注意してください。トイレに何か落としてしまっても異物は流さず取り出して、ゴミ箱に捨てるようにしましょう。
定期的な清掃で尿石を排除する
尿石は尿の成分が固まったもので、便器をはじめ排水管の内部やトイレの床、壁にこびりつくのが特徴です。黄色っぽい茶色の汚れが付着すると異臭が発生するだけでなく、見た目にも不衛生な状態となります。尿石はつまりの原因にもなるので、清潔さを保つだけでなく、つまりを予防するためにも蓄積させないことが大切です。
尿石を防ぐために、専用のトイレ用クリーナーやブラシを使用して、定期的に便器内や排水管の汚れを取り除きましょう。
まとめ
この記事では、トイレの水位が上昇する原因やトイレの水位を下げる方法について詳しく解説してきました。
トイレの水位上昇は便器内のトラブルの前兆です。軽度なつまりであれば自然に解消することもありますが、改善しない場合、漏水や利用不可といったように被害が拡大してしまいます。特に集合住宅では下の階にも被害が及びかねません。そのため、冷静に原因を確認し、対処法を選ぶようにしましょう。
また、被害が拡大してからでは修理費用が高くなってしまうことがあるので、自分で修理が難しいと思われる場合には、無理をせずすぐに信頼できる専門業者に修理を依頼するようにしてください。
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口コミや実績から水道修理業者を比較しよう
水道修理業者を判断する材料として、口コミサイトや公式サイトの修理実績などを確認するのもおすすめです。水道屋さんの口コミをまとめたサイトも多くあるので、そちらを確認したり、SNSを確認するのもいいかもしれません。
地域密着型の修理業者を選べば安心
一刻を争うような水のトラブル発生している場合、水道修理業者をじっくり選んでいる場合ではないと思われる方もいるかもしれません。そんな時は、地域密着型の水道屋さんを選ぶといいでしょう。家の近くの水道修理業者を見つけておけば、早ければ30分以内に修理を始めてもらえるかもしれません。
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