給水管から直接便器に水を流す『フラッシュバルブ』が故障してしまうと、トイレを使用したときに排水することができず、困ってしまいますよね。
フラッシュバルブは細かい部品も多く、修理には専門的な知識や技術が必要ですが、自分で対処できるケースもあります。
そこでこの記事では、『フラッシュバルブが故障したときの対処方法』や『自分で修理する方法』についてご紹介します。
【フラッシュバルブの修理を水道業者に依頼する際の費用相場や注意点】についても詳しくご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
【この記事を読んで欲しい人】
- フラッシュバルブが故障した
- フラッシュバルブを自分で修理したい
- フラッシュバルブから水漏れしている
- フラッシュバルブって何?
- 水道修理業者に依頼する場合の費用について知りたい
フラッシュバルブとは?構造と水が流れる仕組み
フラッシュバルブ式のトイレは、『直接給水管から水を流すタイプ』です。
そのため、タンクに水が溜まるまで待つ必要がなく、短い間で連続で水を流して使用できるといった特徴があります。
一般家庭ではあまり見かけないタイプのトイレですが、主に多数の人が利用する学校や、駅などの公共で設置されていることが多いです。
フラッシュバルブ式のトイレはシンプルな構造ですが、経年劣化によってさまざまな不具合が発生する可能性があります。
以下では、【フラッシュバルブの構造と各部品の役割】について解説していきます。
フラッシュバルブの構造と各部品の役割
フラッシュバルブ式はトイレタンクがなく、給水管から便器に直接水を流すため、部品がひとつの箇所にまとまっているのが特徴です。
フラッシュバルブは主に以下の部品が、それぞれの役割を担ってトイレの排水を行っています。
給水管に接続されている『止水栓』は、フラッシュバルブへの送水を一時的に遮断するための装置です。
パッキンは経年劣化によって磨耗することもあるので、定期的な交換をする必要があります。
ピストンバルブ内の『ストレーナー』は、水道水に含まれるゴミを取り除くフィルターの役割を持っています。
フラッシュバルブは内部に細かい部品が多いため、分解修理を行うときには部品を失くしてしまわないように要注意です。
なぜなら、フラッシュバルブ式のトイレの部品は、他のタイプのトイレと比べてパーツの一部取り寄せが難しいためです。
フラッシュバルブの水が流れる仕組み
フラッシュバルブは水圧によって上下するピストンバルブの働きで、止水を行っています。
フラッシュバルブ式のトイレは、以下のような仕組みで洗浄を行います。
- レバーを押す
- ピストンバルブの水圧がなくなり、上方向に押しあがる
- トイレに水が流れ続けて洗浄される
- ピストンバルブ内に水圧がかかり、下方向に押し下げられる
ピストンバルブにかかっていた水圧がなくなり上方向に押し上げられた結果、給水管からしばらく水が流れ続けてトイレが洗浄されます。
給水管から水が流れ続けている間、ストレーナーと呼ばれる小さな穴からピストンバルブ内に水が溜まります。
ピストンバルブ内に水圧がかかることで、再び下方向へ押し下げられ給水が自動的に止まります。
以上が、フラッシュバルブで洗浄を行うトイレの一連の流れです。
フラッシュバルブは給水管の口径が25㎜以上が必要
フラッシュバルブ式でトイレをきちんと洗浄するには、安定した水圧が必要条件となります。
一般的な家庭の給水管の口径は20㎜ですが、フラッシュバルブを使うには水圧0.07MPa以上、すなわち給水管の口径が25㎜以上である必要があります。
タンク式やタンクレストイレとの違い
タンクレストイレとフラッシュバルブ式トイレの大きな違いは、水を流す仕組みです。
『フラッシュバルブ式のトイレ』も『タンクレス式のトイレ』も、直接給水管に繋がっているという点では同じです。
フラッシュバルブ式は水圧の力で押し流すのに対して、タンクレストイレは水流と水圧を電子制御でコントロールして水を流します。
フラッシュバルブ式はランニングコストが安く、5~8Lの少ない水量でトイレを洗浄できます。
一方で、タンクレス式のトイレは水流と水圧を電子制御する仕組みのため、少ない水量で効率的に流すことが可能です。
最新のタンクレストイレは、フラッシュバルブよりも少ない3~5Lの水量でトイレを清潔に保てることが大きなメリットです。
フラッシュバルブトイレでよくあるトラブルの原因と対策
「フラッシュバルブ式トイレでのトラブル」に困っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
フラッシュバルブ式トイレの仕組みは、タンクレストイレとは異なるため、トラブルの原因が異なる場合もあります。
以下では、【トイレのフラッシュバルブでよくあるトラブルの原因と対策】についてご紹介します。
レバー部分や接合部からの水漏れ
「フラッシュバルブのレバー部分」や「固定ナットの接続部分」から水漏れが起きている場合の原因は、以下の通りです。
内部のパッキンが劣化している
水漏れは「固定ナットの接続部分からの緩み」が原因のことも多いため、まずはナットの締め付けを確認します。
「レバー横や配管の接続部分のナットが緩んでいる」場合は、ナットを締め直して対処しましょう。
固定ナットが緩んでいる
「ナットの緩みが原因でない」場合は、フラッシュバルブ内部のパッキンを新しいパッキンに交換します。フラッシュバルブ内部の部品が製造終了となっている場合は、フラッシュバルブ本体を交換する必要があります。
水の勢いが弱い・水が流れない
フラッシュバルブの水の勢いが弱い・水が流れない場合の原因は、以下の通りです。
フラッシュバルブの水が弱い
「フラッシュバルブの水が弱い」場合は、ピストンバルブに取り付けられている『ストレーナー』にゴミや汚れが付着していることが原因かもしれません。
もしくは、ストレーナーに目詰まりが発生している可能性があります。
「ストレーナーが汚れて水の勢いが弱くなっている」場合は、フラッシュバルブを分解して洗浄しましょう。
フラッシュバルブから水が流れない
「フラッシュバルブから水が流れない」原因として、『レバー部分の故障』『給水弁の故障』可能性が考えられます。
フラッシュバルブの『レバー部分』『給水弁』は、部品のみの交換を行うことは基本的にできません。
レバー部分やフラッシュバルブの給水弁が故障している場合は、フラッシュバルブ本体を交換して対処しましょう。
水が止まらない
フラッシュバルブから水が止まらなくなったら、まずは止水栓を閉めて一時的に給水を止めます。
通常はフラッシュバルブ内のストレーナーに水が入り、徐々に圧力がかかってピストンバルブが下方向に押し下がり水が止まります。
しかし、ストレーナーが目詰まりを起こしていると、水が穴から入ることができません。
その結果、圧力が下がらずピストンバルブが上がったまま、水が流れっぱなしになってしまうといったトラブルが発生します。
ストレーナーの掃除を行ってもトラブルが解消されない場合は、フラッシュバルブ本体が故障している可能性が考えられます
フラッシュバルブの修理方法
ここからは、【フラッシュバルブの修理方法】について以下でご紹介します。
まずは、「フラッシュバルブの修理に必要なもの」からご紹介します。
フラッシュバルブの修理する箇所によって必要な道具は異なるので、必要なものを準備するようにしましょう。
フラッシュバルブを修理するために必要な交換部品は、必ずお使いのトイレのフラッシュバルブに対応したものを準備してください。
交換する部品のサイズが異なると取り付けできないので、注意してくださいね。
事前にフラッシュバルブの型番や、取扱説明書をしっかり確認しておきましょう。
【レバー部分の水漏れを修理】パッキンの交換方法
フラッシュバルブの「内部のパッキン」を交換するには、以下の手順で行います。
止水栓を閉めるときは回した回数を覚えておくと部品の交換後、止水栓を開けるときに役立ちます。
- 止水栓を閉める
- レバー横のナットを緩める
- レバーを取り外す
- パッキンを交換する
- 逆の手順で取り付ける
- 止水栓を開けて水漏れがないか確認する
止水栓を閉める
「ウォーターポンププライヤー」を使って「止水栓カバー」を取り外します。
フラッシュバルブには2本の配管がありますが、レバーが付いていない方が止水栓側の給水管です。
止水栓は「マイナスドライバー」を使って、右方向(時計回り)に回せば閉めることができます。
レバー横のナットを緩める
「ハンドルレバーの横のナット」を「ウォーターポンププライヤー」を使って緩めます。
レバーを取り外す
「固定ナット」を緩めると「レバー」を取り外すことができます。
パッキンを交換する
ハンドルレバー内の「パッキン」を新しいものに交換します。
逆の手順で取り付ける
取り外しとは逆の手順で部品を元の状態に戻しましょう。
止水栓を開けて水漏れがないか確認する
最後に、止水栓を開けて水漏れがないか確認します。
水漏れが直らない場合は、パッキンの劣化ではなく別の原因が考えられます。
フラッシュバルブ本体を交換する、必要がある場合もあります。
【水が止まらない・流れないトラブルを修理】
ストレーナーを分解して掃除する方法は、以下の通りです。
- 止水栓を閉める
- フラッシュバルブのカバーを外す
- ナットを取り外す
- フタを開けてピストンバルブを取り外す
- フィルターを掃除する
- 逆の手順で取り付ける
- 止水栓を開けてトラブルが解消したか確認する
止水栓を閉める
「ウォーターポンププライヤー」を使って「止水栓カバー」を取り外します。
フラッシュバルブには2本の配管がありますが、レバーが付いていない方が止水栓側の給水管です。
止水栓は「マイナスドライバー」を使って右方向(時計回り)に回せば閉めることができます。
フラッシュバルブのカバーを外す
ハンドルレバーが付いている方がフラッシュバルブ本体です。
「ウォーターポンププライヤー」を使って「本体のカバー」を取り外しましょう。
本体のカバーを取り外すときは、金具部分が傷付かないようにタオルで挟むと安心です。
ナットを取り外す
「ピストンバルブのフタ」を固定しているナットを取り外します。
プライヤーで挟んだ状態で、左方向に回せば取り外すことができます。
フタを開けてピストンバルブを取り外す
フタを持ち上げて、「ピストンバルブ」を上方向に持ち上げて取り外します。
手元が滑って部品を落とさないように注意しましょう。
フィルターを掃除する
歯ブラシなどの小さなブラシを使って、ピストンバルブの「ストレーナー(フィルター)」を掃除します。
ここで力強く擦ってしまうと、フィルターが破損してしまうリスクがあるので汚れを取り除く程度の力で掃除しましょう。
逆の手順で取り付ける
取り外しとは逆の手順で、部品をすべて取り付けます。
ピストンバルブをナットで固定するのを忘れないようにしましょう。
止水栓を開けてトラブルが解消したか確認する
最後に止水栓を開けて水がきちんと流れるか、もしくはきちんと止まるかを確認します。
無事に修理が済んで、トラブルが解消されたら「フラッシュバルブの本体カバー」を取り付けて作業は完了です。
【取り外し編】フラッシュバルブを自分で交換する方法
フラッシュバルブを交換するときは、既存の「フラッシュバルブ本体」を取り外す必要があります。
作業自体は簡単に行うことができますが、部品が固着している場合は注意して取り外すようにしてください。
フラッシュバルブを取り外す手順は、以下の通りです。
- 水道の元栓を閉める
- 給水管のナットを緩めて取り外す
- スパッドを固定しているナットを取り外す
- パッキンを取り外す
- スパッド周辺の汚れを取り除く
- 壁側のナットを取り外してフラッシュバルブ本体を取り除く
- 取り付け穴の汚れを歯ブラシで掃除する
水道の元栓を閉める
フラッシュバルブ本体を交換するときは、必ず水道の元栓を閉めてから行います。
給水管のナットを緩めて取り外す
「レンチ」を使って、「フラッシュバルブと便器を繋いでいるナット」を上下とも緩めます。
取り外した給水管は、落とさないように気を付けましょう。
スパッドを固定しているナットを取り外す
「スパッドを固定しているナット」をレンチで取り外します。
ナットは、左方向に回せば緩めることが可能です。
パッキンを取り外す
「固定ナットとスパッドの間にあるパッキン」を取り外しましょう。
スパッド周辺の汚れを取り除く
「スパッド」を取り外した部分が汚れている場合は、雑巾などを使って掃除します。
壁側のナットを取り外してフラッシュバルブ本体を取り除く
「壁の給水管」に接続している、フラッシュバルブを回して取り外します。
手で回らない場合は、「レンチ」を使って取り外しましょう。
取り付け穴の汚れを歯ブラシで掃除する
フラッシュバルブが取り付けてあった給水管の汚れを取り除きます。
歯ブラシなどのブラシを使って、シールテープの残りや汚れを丁寧に取り除きましょう。
【取り付け編】フラッシュバルブを自分で交換する方法
フラッシュバルブ本体の取り付けは、以下の手順で行います。
- スパッド本体を便器に差し込む
- スカートパッキンを設置する
- ワッシャーとパッキンを取り付ける
- ナットで固定する
- フラッシュバルブにシールテープを巻く
- スパッドに給水管を取り付ける
- 給水管にフラッシュバルブを取り付ける
- 便器側の給水管にパッキンを取り付ける
- 給水管の固定ナットを締め付けて固定する
- 水道の元栓を開けて水漏れしないか確認する
スパッド本体を便器に差し込む
「便器の取り付け穴」に「スパッド」を差し込みます。
スパッド本体は取り外し同様、斜めにして差し込むようにします。
スカートパッキンを設置する
スパッド本体を持ち上げながら、「スカートパッキン」を被せるようにして取り付けます。
ワッシャーとパッキンを取り付ける
スパッドを持ち上げながら、「取り付け穴」に「ワッシャー」と「パッキン」を入れます。
ここで誤って手を離してしまうと、スパッドが落ちてしまうので注意しましょう。
ナットで固定する
ナットを軽く手で仮止めしてから、「レンチ」で締め付けて便器に固定しましょう。
フラッシュバルブにシールテープを巻く
「交換するフラッシュバルブのネジ部分」に、5~6回を目安にシールテープを巻き付けます。
シールテープを巻き付けるときは、シールがたるまないようにピンと時計方向に張るように巻き付けましょう。
シールテープをしっかりと時計方向に巻き終わったら、指の腹で押さえてネジ山に馴染ませます。
スパッドに給水管を取り付ける
「スパッド」に給水管を取り付けて、ナットで固定します。
給水管にフラッシュバルブを取り付ける
先ほどシールテープを巻き付けたフラッシュバルブ本体、壁の給水管に取り付けます。
便器側のナットの位置に合わせるように回しますが、調整のために逆方向に回さないようにしてください。
便器側の給水管にパッキンを取り付ける
「フラッシュバルブと給水管の間」に「パッキン」を取り付けます。
給水管の固定ナットを締め付けて固定する
「給水管のナット」と「フラッシュバルブ」を「レンチ」で締め付けて固定します。
水道の元栓を開けて水漏れしないか確認する
最後に、水道の元栓を開けて水漏れしないか確認しましょう。
ハンドルレバーを下げて水を流して、正常に排水を行うことができれば取り付けは完了です。
フラッシュバルブの修理を業者に依頼したときの費用相場
「パッキンの交換や、部品調整のみで対処できる場合」の修理費用は、1万円以内で収まることが多いです。
「フラッシュバルブから水漏れ」「レバーを押しても水が流れない」「水が止まらない」等のトラブルを業者に依頼した場合の費用相場は、1万円~3万円前後です。
「フラッシュバルブ本体の交換が必要な場合」は、部品代と作業費用を含めた金額となるので高額になる可能性があります。
フラッシュバルブの修理は必ず水道局指定工事店に依頼する
フラッシュバルブの修理を業者に依頼するときは、『水道局指定工事店』を選ぶようにしましょう。
水道業者を選ぶときは水道局指定工事店に依頼することで、フラッシュバルブをはじめとする水まわりの修理交換を安心して任せることができます。
まとめ
この記事では、【フラッシュバルブが故障した場合の対処方法や修理方法】についてご紹介しました。
フラッシュバルブは細かい部品も多く、部品の保有期間が切れている場合は、フラッシュバルブ本体を交換する必要があります。
この記事でご紹介した、自分でできる対処方法や修理方法でフラッシュバルブの不具合のお悩みを解消することができれば幸いです。
自分で修理することが難しい、対処方法を行っても不具合の原因が分からない場合は、無理せず水道業者にご相談くださいね。
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口コミや実績から水道修理業者を比較しよう
水道修理業者を判断する材料として、口コミサイトや公式サイトの修理実績などを確認するのもおすすめです。水道屋さんの口コミをまとめたサイトも多くあるので、そちらを確認したり、SNSを確認するのもいいかもしれません。
地域密着型の修理業者を選べば安心
一刻を争うような水のトラブル発生している場合、水道修理業者をじっくり選んでいる場合ではないと思われる方もいるかもしれません。そんな時は、地域密着型の水道屋さんを選ぶといいでしょう。家の近くの水道修理業者を見つけておけば、早ければ30分以内に修理を始めてもらえるかもしれません。
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