グリーストラップを清掃しないとどうなる？悪臭・害虫・罰金のリスクと対策法

2025年10月14日

飲食店経営者の皆さま、グリーストラップの清掃を後回しにしていませんか？
水の救急隊では長年水道設備の専門家として多くの現場を見てきましたが、グリストラップの清掃を怠ると想像以上に深刻な問題が発生します。
この記事では、グリーストラップを清掃しないことで起こる具体的なリスクを詳しく解説いたします。

悪臭や害虫発生による営業への悪影響、保健所からの指導や下水道法違反による罰金、さらには配管詰まりによる高額な修繕費用まで、実際に起こりうる問題を網羅的にお伝えします。

また、これらのトラブルを未然に防ぐための適切な清掃頻度と対策法もご紹介しますので、安心して営業を続けるための参考にしていただければと思います。

グリーストラップを清掃しないとどうなるか

グリーストラップの清掃を怠ると、飲食店経営において深刻な問題が発生します。
水道修理のプロとして、多くの現場でこうしたトラブルを目の当たりにしてきました。

グリーストラップを放置すると、悪臭・害虫・法的リスクという3つの大きな問題が確実に発生します。
これらの問題は単独で起こるのではなく、相互に関連しながら店舗運営に致命的な影響を与えるのです。

問題の種類	発生時期の目安	影響度
悪臭の発生	清掃停止から1〜2週間	高
害虫の発生	清掃停止から2〜4週間	高
配管のつまり	清掃停止から1〜3ヶ月	中
保健所の指導	苦情発生後数日〜1週間	極高

特に注意していただきたいのは、これらの問題が段階的に悪化していくということです。
最初は軽微な臭いから始まりますが、放置し続けると営業停止という最悪の事態に発展する可能性があります。

これまで対応した事例では、グリーストラップの清掃を3ヶ月以上怠った飲食店で、修繕費用だけで数十万円かかったケースもありました。
定期的な清掃にかかる費用と比較すると、その差は歴然としています。

また、近年ではSNSでの拡散リスクも無視できません。
悪臭や害虫の被害は、お客様による口コミやレビューで瞬く間に広まり、店舗の評判に長期的な影響を与える可能性があります。

悪臭が発生する原因と影響

グリーストラップの清掃を怠ると、強烈な悪臭が発生し、店舗運営に深刻な影響を与えます。
この悪臭は単なる不快感だけでなく、お客様の来店率低下や近隣トラブルの原因となる重大な問題です。

グリストラップの清掃を怠った現場では必ずと言っていいほど悪臭問題が発生しています。
まずは悪臭が発生する仕組みと、その深刻な影響について詳しく解説いたします。

腐敗した油脂による強烈な臭い

グリーストラップ内で悪臭が発生する主な原因は、油脂の腐敗と嫌気性菌による分解作用です。
清掃を怠ると、以下のプロセスで悪臭が生まれます。

段階	現象	発生する臭い
初期段階（1～2週間）	油脂の酸化	酸っぱい臭い
中期段階（2～4週間）	嫌気性菌の活動活発化	腐ったような臭い
後期段階（1ヶ月以上）	硫化水素ガス発生	卵の腐ったような強烈な臭い

特に問題となるのが硫化水素ガスです。
この気体は極めて強い刺激臭を持ち、わずかな量でも人の嗅覚で感知できるため、厨房全体に悪臭が広がってしまいます。

また、温度が高い夏場や湿度の高い時期には、細菌の活動がより活発になるため、悪臭の発生速度も早まります。
エアコンの効いた店内でも、グリーストラップ周辺から発生した臭いは確実に店舗全体に影響を及ぼします。

店舗や近隣への悪臭被害

グリーストラップから発生する悪臭は、店舗運営と近隣関係の両方に深刻な被害をもたらします。
実際に対応した事例を基に、具体的な被害をご説明します。

まず店舗への直接的な影響として、お客様の来店率低下が挙げられます。
特に飲食店では、入店時の第一印象が非常に重要です。
悪臭があると、お客様は「衛生管理ができていない店」という印象を持ち、リピーターの獲得が困難になります。

従業員への影響も深刻です。
長時間悪臭のある環境で働くことで、以下のような問題が発生します：

作業効率の低下
体調不良の訴え
離職率の増加
新人採用の困

近隣への影響については、民事紛争や行政指導のリスクがあります。
特に住宅地にある店舗や、隣接する建物がある場合、悪臭による苦情は避けられません。

実際にあった事例では、清掃を2ヶ月間怠ったレストランで、隣のオフィスビルから苦情が出て、最終的に保健所の指導を受けることになりました。
このような事態になると、店舗の信用失墜だけでなく、改善命令や営業停止処分のリスクも高まります。

悪臭問題は「気づいた時には手遅れ」になりやすい特徴があります。
従業員は慣れてしまい気づかなくなる一方で、お客様や近隣の方々は敏感に感じ取るからです。
定期的な清掃こそが、これらのリスクを回避する最も確実な方法なのです。

害虫発生のリスクと被害

グリーストラップを清掃しないと、ゴキブリやハエなどの害虫が大量発生し、店舗の衛生環境が著しく悪化します。
これらの害虫は食品を扱う飲食店にとって致命的な問題となり、営業にも深刻な影響を与えます。

ゴキブリやハエの大量発生

グリーストラップに蓄積された腐敗した油脂や食べ物のカスは、害虫にとって格好の餌場となります。
特に問題となるのがゴキブリとハエの繁殖です。

ゴキブリは温暖で湿度の高いグリーストラップ周辺を好み、1匹見つかれば数十匹から数百匹が潜んでいると考えられます。
ゴキブリは夜間に活動するため、昼間は発見されにくく、気付いた時には既に大量繁殖していることが多いのです。

ハエについても同様で、腐敗した有機物に卵を産み付け、短期間で大量発生します。
特にチョウバエは下水や排水溝を好むため、清掃を怠ったグリーストラップ周辺で頻繁に発生します。

害虫の種類	発生原因	繁殖スピード	主な被害
ゴキブリ	腐敗した油脂・食べ物のカス	約30日で成虫	食品汚染・病原菌媒介
チョウバエ	汚泥・有機物の蓄積	約15日で成虫	不快感・衛生問題
ショウジョウバエ	発酵した有機物	約10日で成虫	食品への混入

衛生環境の悪化による営業への影響

害虫の発生は飲食店の営業に直接的かつ深刻な影響を与えます。
お客様が害虫を目撃した場合、店舗の信頼は一瞬で失われ、口コミやSNSで悪い評判が広がるリスクがあります。

保健所の立入検査では、害虫の発生は重大な衛生違反として扱われます。
ゴキブリやハエが確認された場合、即座に営業停止処分を受ける可能性が高くなります。
実際に対応したケースでも、グリーストラップの清掃を怠った結果、ゴキブリが大量発生し、保健所から1週間の営業停止処分を受けた飲食店があります。

また、害虫は様々な病原菌を媒介します。
ゴキブリは消化器系の感染症を引き起こす細菌やウイルスを運び、ハエも食中毒の原因となる病原菌を食品に付着させる危険性があります。

一度害虫が発生すると完全に駆除するまでに時間とコストがかかり、その間も営業に支障をきたすため、予防的な清掃が何より重要です。
専門業者による害虫駆除には数十万円の費用がかかることもあり、定期的なグリーストラップ清掃のコストと比較すると、はるかに高額な出費となってしまいます。

法的リスクと罰金の可能性

グリーストラップの清掃を怠ると、法的な処分を受けるリスクが高まります。
飲食店などの事業者は、食品衛生法や下水道法に基づく義務を負っており、違反した場合は指導や罰金などの処分を受ける可能性があります。

保健所からの指導・処分

保健所は、グリーストラップの管理状況を定期的に検査しています。
清掃を怠っている場合、食品衛生法に基づく行政指導や営業停止処分を受ける可能性があります。

処分の段階	内容	影響
口頭指導	改善の指示	営業継続可能
文書指導	書面による改善命令	改善期限の設定
営業停止処分	営業許可の一時停止	売上への直接的影響

特に悪質な場合は、営業許可の取り消しという最も重い処分を受けることもあります。
一度営業停止処分を受けると、お客様の信頼回復には長期間を要することになります。

下水道法違反による罰則

グリーストラップから適切に処理されていない油脂が下水道に流出すると、下水道法違反として刑事罰の対象となります。
この法律は公共の下水道システムを保護するために制定されており、違反者には厳しい処分が課せられます。

下水道法違反の罰則は以下の通りです

違反内容	罰則	備考
排水基準違反	6か月以下の懲役または50万円以下の罰金	継続的な違反の場合
改善命令違反	1年以下の懲役または100万円以下の罰金	行政指導に従わない場合
法人の場合	個人への罰金に加え、法人にも同額の罰金	両罰規定の適用

さらに、下水道の修繕費用や環境汚染に対する損害賠償を請求される場合もあります。
これらの費用は数百万円に及ぶこともあり、事業継続に深刻な影響を与える可能性があります。

実際に、東京都や大阪市などの自治体では、グリーストラップの管理不備により処分を受けた飲食店の事例が数多く報告されています。
定期的な清掃と適切な管理により、これらのリスクを未然に防ぐことが重要です。

グリーストラップ清掃を怠ることで起こるその他の問題

グリーストラップの清掃を怠ると、悪臭や害虫発生、法的リスク以外にも深刻な問題が発生します。
水道修理の現場で実際に見てきた事例をもとに、具体的な問題とその影響について詳しく解説いたします。

配管のつまりと修繕費用

グリーストラップの清掃を怠ると、油脂や食べカスが下水管に流れ込み、配管の深刻なつまりを引き起こします。
これは飲食店にとって非常に高額な修繕費用につながる問題です。

油脂は温度が下がると固まる性質があるため、配管内で冷えて固化し、徐々に管内を狭くしていきます。
初期段階では排水の流れが悪くなる程度ですが、放置すると完全に配管がつまってしまいます。

つまりの段階	症状	修繕費用の目安
軽度	排水の流れが遅い	1万円～3万円
中度	水が逆流する	3万円～10万円
重度	完全につまり排水不可	10万円～20万円以上

特に注意が必要なのは、配管のつまりが建物全体の下水設備に影響を与える場合です。
マンションやビルの一階にある飲食店では、上階への影響も考慮する必要があり、損害賠償請求を受けるリスクもあります。

営業停止のリスク

グリーストラップの清掃不備は、最悪の場合営業停止処分につながる可能性があります。
これは飲食店にとって経営に直結する深刻な問題です。

営業停止に至る主な流れは以下のようなものです。
まず保健所による立ち入り検査で衛生状態の不備が発覚し、改善指導が行われます。
指導に従わない場合や改善が見られない場合、営業停止処分が下されることがあります。

実際の営業停止期間は違反の程度により異なりますが、一般的には数日から数週間に及びます。
この期間中の売上損失は計り知れません。
例えば、月売上300万円の飲食店が10日間営業停止になった場合、約100万円の売上損失となります。

また、営業停止処分を受けた店舗は社会的信用も大きく損ないます。
インターネット上で情報が拡散されやすい現代では、一度失った信頼を回復するのは非常に困難です。
お客様からの信頼回復には長期間を要し、売上の回復にはさらに時間がかかることが予想されます。

これもでの事例では、適切な清掃を行っていれば防げた問題がほとんどでした。
グリーストラップの管理は、単なる設備保守ではなく、事業継続に関わる重要な経営課題として捉えることが大切です。

適切な清掃頻度と対策法

グリーストラップの清掃は、定期的な実施が店舗経営において非常に重要です。
適切な頻度で清掃を行うことで、先ほどご説明したトラブルを未然に防げます。

清掃頻度は使用量や業態によって異なりますが、一般的な目安をお示しします。

業態	日常清掃	専門清掃
一般飲食店	週2～3回	月1～2回
焼肉店・中華料理店	毎日	月2～3回
ファストフード店	毎日	月3～4回

日常清掃のポイント

日常清掃では、油脂の蓄積を最小限に抑えることが最も重要です。
毎日の簡単な作業で大きな効果を得られます。

清掃手順①

まず、バスケット部分の清掃を行います。
浮いている油脂や食材カスをすくい取り、専用の容器に廃棄してください。この作業は営業終了後に必ず実施することをおすすめします。

清掃手順②

次に、トラップ内の水位を確認します。
適正な水位を保つことで、油脂分離の効果が維持されます。
水位が低い場合は、清水を補給してください。

清掃手順③

清掃後は除菌スプレーを使用し、周辺の衛生環境も整えます。

これにより害虫の発生リスクを大幅に軽減できます。

専門業者による定期清掃

専門業者による定期清掃は、日常清掃では対応できない部分の徹底清掃を目的としています。
この清掃により、グリーストラップの機能を最適な状態に保てます。

専門清掃では、トラップ内部の完全排水から始まります。
蓄積した油脂や汚泥を専用の機材で除去し、配管内部まで清掃を行います。

清掃業者の選択では、以下の点を確認することが大切です。
まず、適切な許可を持っているか確認してください。
産業廃棄物処理業の許可があることで、回収した油脂を適正に処理できます。

また、定期契約により費用を抑えられる場合が多くあります。
月額1万円から3万円程度が相場ですが、清掃頻度や店舗規模により変動します。

清掃記録の提供も重要なサービスです。
保健所の立入検査時に、適切な清掃を行っている証明として活用できます。

まとめ

グリーストラップを清掃しないと、悪臭の発生、害虫の大量発生、保健所からの指導や下水道法違反による罰則、配管のつまりや営業停止など深刻な問題が生じます。

経験上、これらの問題は事業継続に大きな影響を与えるため、日常の清掃と専門業者による定期清掃を組み合わせた適切な管理が不可欠です。

清掃を怠ることで発生する修繕費用や営業損失を考えると、予防的なメンテナンスが最も経済的で確実な対策といえるでしょう。