蛇口やトイレなど水回り設備には、寒冷地仕様と一般仕様があります。
「寒冷地仕様は一般仕様と何が違うのか?」「価格の違いは?」「自分の住んでいる地域ではどちらを選んだほうがいい?」など寒冷地仕様の水回り設備についての疑問にお答えします。
凍結などのトラブルがないようにお住いの地域に合ったものを選びましょう。
【この記事を読んで欲しい人】
- 一般地仕様と寒冷地仕様の違いについて知りたい
- 寒冷地の水回り設備の対策について知りたい
- 設備を寒冷地仕様にした方がいいケースや条件について知りたい
- 寒冷地仕様の設備や商品の費用が知りたい
どこまでが寒冷地?
寒冷地と聞けば北海道など、とにかく雪が降って寒い所というイメージがあるかもしれません。
ですが、実は寒冷地に認定される定義というものがあります。
また寒冷地にもいくつか種類があるので併せて紹介していきます。
寒冷地、準寒冷地の対象地域
寒い地域や凍結被害が起こる地域を表す名称は「寒冷地」の他に「準寒冷地」というものがあります。
この寒冷地と準寒冷地ですが、どの分野から見るかで該当する地域が変わります。
私たち水道屋の目線でいうと「凍結被害が起きる気温の地域」「寒波の被害がある地域」「凍結・寒さ対策が基本的に必要な地域」として考えています。
他にも「建築設備分野」「気温」「農業分野」など様々な目線から考えることもできますが、今回は「水道屋の目線からみた寒冷地と準寒冷地」で解説していきます。
寒冷地として認定されている地域は以下の通りです。
- 北海道
- 青森県
- 秋田県
- 岩手県
- 山形県
- 宮城県
- 長野県
準寒冷地として認定されている地域は以下の通りです。
- 福島県
- 栃木県
- 茨城県
- 群馬県
- 埼玉県
- 新潟県
- 山梨県
- 岐阜県
上記に記載した地域が寒冷地と準寒冷地です。
ですが先ほどもお伝えした通り、見る角度で対象地域が変わります。
実際にいくつもの寒冷地の規定や条件があるので、気になる方は調べてみてください。
寒冷地に認定される条件
上の章でもお伝えした通り、寒冷地と準寒冷地の規定や条件は見る角度によって変わります。
私たち水道屋目線で設定されている、寒冷地や準寒冷地の規定や条件について紹介します。
寒冷地の規定や条件は以下の通りです。
準寒冷地の規定や条件は以下の通りです。
- 年に1度襲来するような寒波の際に凍結が発生する地域
上記に記載したのが大まかな寒冷地と準寒冷地の規定や条件です。
ですが寒冷地以外でも山間部や水回り設備の設置場所によっては、気温が氷点下以下になるような地域もあります。
そういった地域も寒冷地・準寒冷地と同様な対策が必要になります。
寒冷地で一般地仕様の設備を使うとどうなるの?
寒冷地で一般地仕様の水回り設備を使用するとどうなるでしょうか?
答えは簡単です。
寒さが厳しい時期はほとんどの場合、凍結トラブルの被害に合うでしょう。
詳しくは後ほど解説しますが、寒冷地仕様の設備には「ヒーターが内蔵されている」「水抜き栓がついている」などの対策が施されています。
こういった機能がついていないと凍結する危険があるのです。
もちろん一般地仕様の物には寒冷地仕様のような機能はついていないので、凍結被害が起こる可能性が高くなります。
凍結が起きると水が使えなくなるだけでなく、最悪の場合は水道管が破裂してしまうなどの被害に見舞われます。
寒冷地仕様の商品は一般地仕様の商品より購入金額は高いですが、金額に見合った価値があるので導入するようにしましょう。
一般地でも寒冷地仕様の設備が必要なケース
一般地にお住まいの方でも特定の条件が満たされる地域に関しては、寒冷地仕様の設備を導入する必要があります。
その条件に関してはいくつかありますが、主な条件としては以下の通りです。
上記の3つのうち1つでも該当するなら、寒冷地仕様の設備に変更することを検討しましょう。
この3つの条件に該当するなら凍結が起きる可能性があるからです。
凍結が起きて水道管が破裂するような被害になっては大変です。
一般地仕様と寒冷地仕様の違い
一般地仕様と寒冷地仕様の水回りにはいくつか違いがあります。
違いとして主に以下の通りです。
水回りによって様々ですが、上記のような機能や特徴が寒冷地仕様の設備にはあります。
こういった設備の違いがある理由は、寒冷地では凍結が起きるからです。
寒冷地では気温が低いため、何も対策をしないでいると水道管や水回り設備内で水が凍り水の流れをとめてしまいます。
この水が凍る現象を凍結といいます。
凍結が起きると普段通りに水が使えなくなるだけでなく、最悪の場合は水道管が破裂することもあります。
よって寒冷地では凍結被害を防ぐために、寒冷地仕様の水回り設備が必要なのです。
寒冷地ならではの水回りの対策
寒冷地と寒冷地ではない地域の違いをより知っていただきたいので、寒冷地で一般的におこなわれている水回りの対策について紹介します。
今後、寒冷地に住む予定の方には特に参考になる内容なので、是非最後まで読み進めてください。
水抜き栓
水抜き栓とは水道の凍結を防ぐための設備です。
水道管が家の中に入る手前に置かれており、水抜き栓を閉める事で水道管内の水を地中に排出することができます。
水道管内に水がなければ、水道管の凍結が起こらないので寒冷地には欠かせない設備です。
また寒冷地仕様の蛇口などの水回り設備には、それぞれに水抜き栓がついているので蛇口内に残っている水も抜くことができます。
各給水設備の水抜き作業
上でもお伝えしましたが、寒冷地仕様の設備にはそれぞれに水抜き栓が取り付けられています。
上記に記載した設備以外にもありますが、それぞれに水抜き栓が設備に組み込まれています。
この水抜き栓を使い設備ごとに水抜きをすることで、凍結を防止することができます。
水道管の保温材
屋外にある水道管や蛇口に被せるための保温材というものがあります。
むき出しになっている水道管や蛇口を、保温材で保護することで凍結被害を防ぐことができます。
ですが保温材をつけていても、凍結が起きることもあります。
また保温材をつけっぱなしにしていて、劣化してめくれていると保温材の効果が発揮されないので注意が必要です。
電動ヒーター(サーモスタット)
電動ヒーター(サーモスタット)とは、屋外の水道管や蛇口などに直接巻きつけるコード型のヒーターのことです。
この電動ヒーターを巻いておけば、水道管や蛇口を凍結しないように温めてくれます。
凍結対策には効果的ですが、動力は電気なので電気代が掛かります。
電気代を抑える省電力タイプの物や、規定の気温になったら自動で電源が入るタイプもあります。
興味のある方は調べてみましょう。
不凍液
不凍液とは水を凍らせない特殊な薬品のことです。
使用例としては、夜間や長期間家を空けるときにトイレの便器に使用したりします。
便器に溜まっている水に不凍液を流し入れることで、便器内の水が凍ることを防げます。
水回りごとの寒冷地仕様設備の特徴と費用
ここからは水回りごとの寒冷地仕様の設備について、特徴や費用を解説していきます。
これから「寒冷地に引っ越す方」や「寒冷地仕様の設備に変更しようか検討されている方」には参考になる内容です。
是非最後まで読んで、寒冷地仕様の設備について理解しておきましょう。
寒冷地仕様のトイレ・便器・タンク
寒冷地仕様のトイレは一般地用の物とは少し違います。
違いがある機能としては「ヒーター内臓」「水抜き栓がついている」「水の流れを止めない」という所です。
商品金額は製品やメーカーにより異なりますが、便器とタンク一式で「7~30万円程」です。
便器内で凍結しないようにヒーターがついている
便器内の水が凍らないようにするためにヒーターが取り付けられている製品があります。
便器に水が溜まる部分の奥川にヒーターが内蔵されており、そのヒーターの熱で便器の水が凍らないようにしています。
ヒーターが内蔵されているので、トイレ内の室温が下がったとしても凍結被害は起きません。
その分、ヒーターを使うと電気代が掛かるのがデメリットです。
タンクや給水管の水を出すため水抜き栓がついている
タンクや給水管でも凍結が起きる可能性があるため、水を抜くための水抜き栓が設置されています。
この水抜き栓を使用することで、タンク内と給水管の水を抜くことができます。
常に水を流し続けるタンクもある
タンクや給水管の水を抜くのではなく、一定量の水を便器へ流し続けるようにする機能をもったタンクもあります。
凍結の恐れがあるため、常に水を流動させることで凍結が起きないようにしています。
寒冷地仕様の「キッチン・洗面台・浴室」の混合水栓
キッチン・洗面台・浴室などの水栓には一般地用の物と違い「水抜き栓」が取り付けられています。
この水抜き栓があると水栓内に残った水を簡単に取り除くことができます。
凍結が起きる原因は給水設備に水が残っていて、その水が凍ることで起きます。
水抜き栓を使えば凍結原因の元を断つことができます。
商品金額は製品やメーカーにより異なりますが、寒冷地仕様の混合水栓は「2~7万円程」が相場です。
水栓の水抜きができるようになっている
寒冷地仕様の混合水栓には必ず水抜き栓が設置されています。
商品によって水抜き栓の場所や形状は異なりますが、基本的に吐水部分の根本に水抜き栓が設置されています。
この水抜き栓で簡単に水栓内部の水を取り除くことができます。
一般地仕様と違い逆止弁がついていない
水抜き栓と関係している違いで、寒冷地仕様の水栓には逆止弁と呼ばれる設備がついていません。
寒冷地仕様の水栓は水抜きをする必要があるため、逆止弁がついていると水が抜けなくなってしまうからです。
寒冷地仕様の屋外の蛇口(立水栓)
寒冷地では屋外の立水栓は、一般地仕様のものだと凍結被害に合いやすいため使用できません。
そのため寒冷地専用の「不凍水栓柱」というものがあります。
商品金額は製品やメーカーにより異なりますが、不凍水栓柱は「2~6万円程」が相場です。
不凍水栓柱なら水抜きできるようになっている
一般地仕様の立水栓と寒冷地の不凍水栓柱の違いは水抜き栓の有無です。
一般地仕様の立水栓には水抜き栓はありません。
ですが寒冷地用の不凍水栓柱には水抜き栓があります。
この水抜き栓で水栓内の水を簡単に抜くことができます。
不凍水栓柱は様々なデザインの物があるので、機能性も考えながら選んでください。
寒冷地仕様のガス給湯器
寒冷地仕様のガス給湯器はガスを燃料にしてお湯を作る設備です。
ガス給湯機はお湯を作る能力(号数)と機能性で金額が変動します。
全国区で見た場合、普及率が高いのはガス給湯器でしょう。
商品金額は製品やメーカーにより異なりますが、寒冷地仕様のガス給湯器は「25~40万円程」が相場です。
凍結防止ヒーター内蔵
ガス給湯器には凍結を防止するために、内部に凍結防止ヒーターが組み込まれているものがあります。
製品により異なりますが、基本的には外気温が一定温度までさがると自動でヒーターが作動するようにできています。
このヒーターがあれば給湯器内部での凍結を防ぐことができます。
お湯だき機能付きなら循環ポンプで凍結を防止できる
お湯だき機能付きのガス給湯器なら、循環ポンプで凍結を防止できます。
循環ポンプが浴槽内の水を循環させることで、配管内の凍結を防ぐことができます。
ですがあくまでも追い炊き配管内の凍結防止機能なので、給水管や給湯管の凍結を防止するものではないので注意しましょう。
寒冷地仕様のエコキュート
エコキュートは電気給湯器の一種で、自然冷媒を利用した熱交換器でお湯を作る給湯器です。
エコキュートはタンク内でお湯を作るのではなく、ヒートポンプユニットと呼ばれる機器でお湯を作ります。
電気温水器よりもランニングコストが安いという特徴があります。
商品金額は製品やメーカーにより異なりますが、寒冷地仕様のエコキュートは「30~50万円程」が相場です。
凍結防止ヒーター内蔵
エコキュートにも凍結を防止するために、内部に凍結防止ヒーターが組み込まれているものがあります。
製品により異なりますが、ガス給湯器と同様に外気温が一定温度までさがると自動で作動します。
このヒーターがあればエコキュート自体や内部の配管の凍結を防ぐことができます。
外気温が低い場合の効率アップ機能
エコキュートは外気を取り込んでお湯を作るので、外気温が低い場合は給湯効率が下がります。
この給湯効率を高める機能が組み込まれているエコキュートもあります。
もちろんエコキュートの購入金額も高くなります。
フルオートタイプなら凍結防止のための循環機能がついている
フルオートタイプのエコキュートなら、凍結を防止するための循環機能がついています。
フルオートタイプには追い炊き機能がついてるので、ガス給湯器と同様に浴槽のお湯をポンプで循環させ、追い炊き配管の温め凍結を防ぐことができます。
寒冷地では石油給湯器が人気!
寒冷地の人にとっては一般的なことですが、石油給湯器は寒冷地では人気なんです。
石油給湯器は給湯能力が段違いだからです。
石油給湯器の動力は灯油です。
灯油の燃料費は掛かりますが、その分安定した給湯能力があります。
商品金額は製品やメーカーにより異なりますが、寒冷地仕様の石油給湯器は「25~50万円程」が相場です。
小さい灯油タンクでも長時間使用できる
石油給湯機はお湯を作る能力が高いため、少ない灯油でも長時間利用することができます。
石油給湯器はタンクに灯油を入れて使用するので、少ない灯油で長く稼働するならタンクの大きさも小さくて済みます。
全体的にコンパクトにすることができるので、スペースが狭くても石油給湯器なら設置ができるのは嬉しいポイントです。
熱量や給湯力がとても高い
石油給湯機はどの給湯機と比べても熱量や給湯力がとても高いのも特徴の1つです。
寒冷地ではお湯が欠かせないので、パワフルな給湯機でないと生活に支障をきたします。
ですがガスや電気給湯器と違い石油給湯器は、燃料となる灯油を確保しておかなければいけません。
ガスや電気給湯器は自動で燃料が補充されますが、石油給湯機は灯油を自身で購入し補充することが必須なので手間は掛かります。
ガス給湯器と比べてランニングコストが安い
石油給湯器は燃料の灯油を自身で購入したり、補充したり手間がかかります。
ですがガス給湯機より石油給湯機の方がランニングコストを安く抑えることができます。
確かに灯油を購入する費用は掛かりますが、少ない灯油で長時間稼働するので結果的なコスパはガス給湯器より良くなります。
こういった様々なメリットから石油給湯器は寒冷地で人気があります。
一般地仕様の設備で不安なら水回り専門業者へ依頼を!
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まとめ
今回は、寒冷地仕様の水回り設備について紹介しました。
結論としては「寒冷地独自の必要な対策がある」「寒冷地仕様の水回り設備には様々な種類と特徴がある」ということです。
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